太陽電池用部分影補償器を統合した
「部分影補償器統合型コンバータ」の開発

鵜野将年
(茨城大学 工学部電気電子工学科 准教授)

2015年7月16日木曜日

研究室プロジェクト(人工衛星用コンバータの開発)


7月の上旬に宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同研究の打ち合わせをしてきました。内容は人工衛星用の新しい電力変換器(コンバータ)の提案と開発です。そもそも、私は大学を卒業してからJAXAで衛星用電源システムの研究開発に106ヶ月ほど従事し、昨年に現在の大学に移ってきました。人工衛星という具体的な用途を目指したモノの開発は学生にとっても非常に良い経験となるので、研究室全体のプロジェクトとして衛星用コンバータの開発に取り組むことにしました。今回は4人の学生と共に打ち合わせに行きましたが、学生達は提案技術をうまく4分割し、個の力を活かしつつチームプレーでプレゼンをこなしてくれました。JAXAのベテラン技術者に対して勇猛果敢にプレゼンをこなす姿はなでしこジャパンに勝るとも劣らず勇ましく、成長の伸びしろも大きそうなので今後の期待が膨らみます。
サッカー関連の言葉を使って学生を持ち上げてばかりいても仕方ないので本題に移ります。人工衛星のエネルギー源は太陽電池と蓄電池ですが、これらを有効活用するためにはたくさんのコンバータが必要になります。具体的に列挙すると、太陽電池制御用コンバータ、部分影補償器(太陽電池用補助コンバータ)、蓄電池充放電用コンバータ、セルバランス回路(蓄電池用補助コンバータ)、等です。しかし、たくさんのコンバータを衛星に搭載するとシステムが複雑になりコストも上昇します。更に、たくさんのコンバータがあるとその数の分だけ故障を引き起こす要因(部品)が増えるため、衛星の信頼性も低下してしまいます。このような課題を解決する一手段として現在提案しているのが「統合型コンバータ」というもので、たくさんのコンバータを一体化できる代物です。例えば、スマートフォンは電話、カメラ、ウェークマン、等々のたくさんの機能が一体化された文字通りスマートなものですが、統合型コンバータもたくさんの機能が一体化されたスマートなコンバータなのです。統合型コンバータを使えばコンバータの台数削減が可能となり、システムの簡素化、信頼性向上、低コスト化を同時に達成することができます。財団からの助成で研究を行っている技術もこの統合型コンバータに応用されており、助成の成果が宇宙で活用される日も遠くないかもしれません。
 

2 件のコメント:

  1. 財団の中原です。
    人工衛星用の統合型コンバーターの開発に必要な技術の開発に我々の研究助成資金が使われているとのこと、たいへん頼もしい限りです。
    人工衛星用のそういったコンバーター開発で培った技術や、それに携わった研究者、学生さんがその経験を元に未来の世の中に役に立つ先進技術を開発する事につながれば、それほどうれしい事はありません。

    9月1日に先生の卒業校である姫路の高校に同行させていただきますが、一つ一つの技術が綿々とつながって世の中のいろんなインフラが成り立っているという事も高校生の皆さんにわかってもらいたいビジョンですね。理科や数学が得意だから、苦手だから、という意識だけで科学を捉えてもらってはいけないと思います。
    とかく、入試を目指した学校教育では、忘れられてしまいがちな観点なので、先生の事業でその辺の鱗を目からはがして欲しいと思います。

    先生はその辺の経験や見識がおありの方であるとお見受けしますので、是非お願いします。

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    1. 中原さま
      学生自身、自分の今やっていることが世の中のどのようなことに繋がるのか、将来どのように活用できるのかを具体的にイメージできることが何よりのモチベーションにつながると思います。
      人工衛星搭載までの道のりは長いですが、大風呂敷を広げただけで終わらず、具体的な目標として2020年までに茨城大で開発したコンバータが宇宙用に採用されることを目指して行きたいと考えています。

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