太陽電池用部分影補償器を統合した
「部分影補償器統合型コンバータ」の開発

鵜野将年
(茨城大学 工学部電気電子工学科 准教授)

2016年3月24日木曜日

学生の受賞と研究成果

 当研究室所属の3名のB4学生(永田 光君、杉山一希君、矢代和輝君)が多賀工業会賞、電気学会東京支部電気学術奨励賞、茨城大学工学系表彰をそれぞれ受賞しました。パワーエレクトロニクスという分野に優秀な工学系の学生が集まっているということを改めて証明してくれていると思います。やはり、パワエレの未来は明るいようです。
永田 光君
 
杉山一希君
 
矢代和輝君

  さて、本年度の助成研究の成果ですが、前回に紹介した小型探査ローバ用のコンバータ開発のみならず、学術的に新しい技術の実証も無事達成することができそうです。当研究室の学生(篠原俊樹君)が自ら導き出した理論式に基づき、理論と実験の両方の観点から新技術の優位性を見事に示してくれました。彼自身にとって研究に対する初めての大勝利で、まさに一皮剥けた瞬間だったような気がします。この助成研究の成果は今年7月に沖縄で開催される国際会議(ICEE 2016 Okinawa)で発表する予定です。その発表に向けて現在、篠原君は英語論文を大執筆中です。
篠原俊樹君

2016年3月17日木曜日

小型探査ローバ用の部分影補償器統合型コンバータを開発中

 国際科学技術財団に助成していただいている研究の成果をもとに、小型探査ローバ搭載用のコンバータ(電力変換回路)を研究室で開発してます。この小型ローバは20xx年に別の主衛星との相乗りでの打上げを目指してJAXAが開発を行っているものなのですが、そこに茨城大の当研究室とJAXAで共同開発するコンバータの搭載を企んでいます。
 ローバのエネルギー源である太陽電池パネルの発生電力を所望の形態に変換する装置がコンバータです。太陽電池やその他の電源(蓄電池やコンセントなど)のあるところには必ずと言っていいほどコンバータ(用途によって呼び名が変わりますが)が使われています。しかし、探査ローバではコンバータ以外にも電力変換に関連する回路が必要となります。それが部分影補償器と呼ばれる回路です。
 太陽電池はご存じの通り太陽光エネルギーを電気エネルギーへと変換するものですが、そのエネルギー量は日射強度や影の状況に大きく影響を受けます。太陽電池パネルの一部に影がかかった場合、影に相当する面積比以上に太陽電池から取り出せる電力が低下してしまう現象が知られています。例えば、太陽電池パネルに10%相当面積の影が掛かった場合、取り出せる電力は30%程低下してしまうといった具合です。このような悪影響を防止する装置として部分影補償器というものがあります。これもコンバータの一種、即ち電力変換回路です。つまり、ローバでは元々のコンバータに加えて部分影補償器も必要となるため、合計2つのコンバータが必要となってしまい、ローバの大型化や高コスト化につながってしまいます。

 このような問題を解消できるのが当研究室で開発している「統合型コンバータ」です。名前の通り、コンバータと部分影補償器を統合したもので、回路を一体化できるのみならず部品点数の大幅削減も可能な優れものです。現在、試作機の簡易的な実験を終えた段階で、これからは詳細な試験をJAXAと共同で進めていく予定です。実用までの道程は長いですが、大学生が宇宙探査機開発の一端を担えるということをウリに、学生主動で開発を進めています。

2016年3月6日日曜日

宇宙エネルギーシンポジウムでの研究発表

3月3日に宇宙航空研究開発機構(JAXA)相模原キャンパスで開催された第35回宇宙エネルギーシンポジウムにて2名の学生(杉山一希、山本聖也)が研究発表を行いました。卒業論文を執筆している最中ということもあり、発表に向けた準備が不十分で特に質疑応答ではうまく受け答えができず、多くの反省点が見つかったほろ苦い発表会となりました。これまでの学内での発表会とは異なり、外部発表では異なる視点から客観的で率直な質問がぶつけられます。特に研究対象技術の応用に関する質問に対しては、普段から広い視野を持てていない「木を見て森を見ず」状態に陥ってしまっているということもあり満足な回答ができませんでした。学生にとっては、幅広い視点から己の研究に対して客観視する必要があるということを学ぶよい経験になったと思います。