太陽電池用部分影補償器を統合した
「部分影補償器統合型コンバータ」の開発

鵜野将年
(茨城大学 工学部電気電子工学科 准教授)

2016年3月17日木曜日

小型探査ローバ用の部分影補償器統合型コンバータを開発中

 国際科学技術財団に助成していただいている研究の成果をもとに、小型探査ローバ搭載用のコンバータ(電力変換回路)を研究室で開発してます。この小型ローバは20xx年に別の主衛星との相乗りでの打上げを目指してJAXAが開発を行っているものなのですが、そこに茨城大の当研究室とJAXAで共同開発するコンバータの搭載を企んでいます。
 ローバのエネルギー源である太陽電池パネルの発生電力を所望の形態に変換する装置がコンバータです。太陽電池やその他の電源(蓄電池やコンセントなど)のあるところには必ずと言っていいほどコンバータ(用途によって呼び名が変わりますが)が使われています。しかし、探査ローバではコンバータ以外にも電力変換に関連する回路が必要となります。それが部分影補償器と呼ばれる回路です。
 太陽電池はご存じの通り太陽光エネルギーを電気エネルギーへと変換するものですが、そのエネルギー量は日射強度や影の状況に大きく影響を受けます。太陽電池パネルの一部に影がかかった場合、影に相当する面積比以上に太陽電池から取り出せる電力が低下してしまう現象が知られています。例えば、太陽電池パネルに10%相当面積の影が掛かった場合、取り出せる電力は30%程低下してしまうといった具合です。このような悪影響を防止する装置として部分影補償器というものがあります。これもコンバータの一種、即ち電力変換回路です。つまり、ローバでは元々のコンバータに加えて部分影補償器も必要となるため、合計2つのコンバータが必要となってしまい、ローバの大型化や高コスト化につながってしまいます。

 このような問題を解消できるのが当研究室で開発している「統合型コンバータ」です。名前の通り、コンバータと部分影補償器を統合したもので、回路を一体化できるのみならず部品点数の大幅削減も可能な優れものです。現在、試作機の簡易的な実験を終えた段階で、これからは詳細な試験をJAXAと共同で進めていく予定です。実用までの道程は長いですが、大学生が宇宙探査機開発の一端を担えるということをウリに、学生主動で開発を進めています。

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